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牡丹靖佳展 月にのぼり、地にもぐる

現代美術家の牡丹靖佳(1971年、大阪生まれ)は、ニューヨークで絵画を学び、帰国後は国内のさまざまな展覧会に出展しながらオランダやスコットランド、スウェーデンのアーティスト・イン・レジデンスに参加するなど、海外での活動も継続的に行い、国内外からの評価を得てきました。
絵画、立体、装画と、創作の幅が多岐にわたる牡丹ですが、核として取り組んでいるのは絵画です。そして、時とともに画風と主題に変化はありながらも、一貫して「現実」と「虚構」が重層し、光によって現れては消え、うつろいゆく世界を画面に留めてきました。その透明感のある色で揺らぎながら現れた木々や花、生きもの、人、風景には、まるで物語の一場面を切り取ったかのような情緒が漂います。
さらに2006年からは、絵画と並行して絵本づくりにも取り組んでいます。これまで絵と言葉の両方を手がけた絵本を計4冊刊行し、豊かな色がきらめきながらも不穏な気配や静寂さが潜む物語世界をつくり上げてきました。その幻想的な世界観は高く評価され、なかでも『おうさまのおひっこし』(2012年)は第24回ブラチスラバ世界絵本原画展賞にノミネートされ、『たびする木馬』(2022年)は第28回日本絵本賞の最終候補に選ばれました。
美術館では初の個展となる本展では、新作と旧作による絵画と、これまで刊行された絵本の原画を交差させながら、約100点の作品を展示いたします。なかでも、幅約6メートル、高さ約2.5メートルの新作《兎月夜》は、月夜に踊る兎を主役に、天と地、生と死、虚と実と、相反するものが交錯する深淵な森を描いた大作です。牡丹が描き捉えた世界の「ゆるやかなうつろい」を、ぜひご覧ください。

展示リスト

投稿 牡丹靖佳展 月にのぼり、地にもぐるI/M 市立伊丹ミュージアム に最初に表示されました。


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